新交通ターミナルは現在のJR新宿駅南口とは甲州街道(国道20号線)を挟んだ
南側に立地する。1階がJR線の線路、2階に改札などの駅施設、3階にタクシー
のりば、そして4階には現在新宿駅周辺に点在する19か所の高速バスのりばを
1か所に集約するバスターミナルが開業する。のりばの場所が分散していて分かりにくく、
場所によっては駅からかなり離れている高速バスのりばは、このターミナルの完成に
よって1か所になるだけでなく、鉄道と直結して利便性が高まる。完成後の一日の
発着便数は1600本となる見込みだ。
妙な言い方になってしまうが、気がつけば高速バスの路線は日本列島の隅々まで、まるで
毛細血管のように張り巡らされている。都道府県単位で言うと北海道と沖縄県は
地理的に孤立しているが、それ以外の本州・四国・九州は橋やトンネルで結ばれて
いるので高速バスは県境など楽々と越えて四通八達してきた。そして何よりも魅力
なのは運賃の安さだろう。ある意味で高速バスはJRに対するLCCとも言える存在
ではないか。
地方都市などで単独の航空会社しか就航していない路線の航空運賃は
概して高い。競争がないから高止まりしてしまうのだ。そのような都市には
LCCも就航していないことが多い。そんな町を訪問する時、まず格安チケットやLCCを
使ってその町と高速バスで結ばれている都市まで飛ぶ。そこから高速バス
で目的地に向かえばリーズナブルな旅が実現する。
プランニングには時刻表の逆引きをお薦めする。高速バスの頁で目的地
と結ばれている都市を調べる。この時出発地から見て、目的地より遠い
場所にある町でも構わない。要は便数の多い空港を選べば格安チケットや
LCCで安い運賃を探せる可能性が高い。遠くまで行って戻った方が安い、
と言うことも充分あるのだ。少し変わった「方たがえ」のような旅も面白い。
高速道路の旅は旅情がない、とよく言われるが、戻る旅なら意表を突く
予想外の旅情を味わえるかも知れない。